山善 ロジス関東
- 日用品・雑貨品
- BtoB
- 出荷仕分け
- t-Sort
- 生産性
- 属人性
- 仕分けの自動化
- スペース・レイアウト
- 省人化
仕分け・出荷業務の人員を 12⇒4人にして63時間の 工数を削減
山善は、一日最大2万個 / 約200店舗の量販店向け物流センターの仕分け業務を「t-Sort」によって劇的に改善した。その運用は、+Automationの手厚いサポートが支えている。
工作機械、産業機器、機械工具などのものづくりを支える「生産財」と、住宅設備機器、家庭機器など快適なくらしを提案する「消費財」を取り扱う専門商社である山善は、量販店やEC向けに雑貨などを出荷するDC型物流センター(Distribution Center、在庫型物流センター)である「ロジス関東」における仕分け業務の生産性向上を図るため、「t-Sort」を導入した
+Automationおよび「t-Sort」との出会い
2020年5月、山善 家庭機器事業部 営業推進部 物流企画室 亀山啓太氏は、日本GLPからのニュースメールで、+Automationのソリューションを知った。興味を持った亀山氏は、+Automationにアプローチし、その夏、さっそく「t-Sort」の実機を見たという。
「これはEC物流で使えるのではないか?」、亀山氏は、このように感じたと言う。
「t-Sort」がマッチする業務を模索していた亀山氏にヒントをくれたのは、当時のロジス関東所長だった。
「『t-Sort』は、ECよりも、量販店向けの雑貨出荷における仕分け業務のほうが向いているのではないか?」、当時新橋にあった+Automationデモスペースを訪れ、「t-Sort」を見た当時の所長は、このように言ったという。
当時、ロジス関東は課題を抱えていた。
とある量販店は関東エリアに約200店舗あり、ロジス関東から雑貨を一日に最大2万個出荷していた。
開始当時は、日々30人の作業員によって、シングルピッキング(オーダーピッキング)業務を行っていた。業務全体の生産性を「t-Sort」によって向上できないかと考えたのだ。
とは言え、「t-Sort」導入には不安もあった。
商品の中には、割れ物や円筒状容器など、「t-Sort」では運びにくいと考えられるものもあったからである。
そこで、+Automationが提案したのが、ハンモック型シュートである。船の帆にも使われる強度に加え、耐久性と適度な柔軟性を備えた素材でできており、テストの結果、割れ物も問題なく扱えることが分かった。
また、円筒状容器の商品は、クロスベルト型「t-Sort」のベルト部分に、商品の転落を防止する補助材を設けることで解決できた。
加えて、速度が早すぎても転がり落ちてしまうため、速度のチューニングも念入りに行なった。
「アイデアと提案力で課題を克服してくれた+Automationには感謝しています」と、亀山氏は当時を振り返る。
「+Automationのサポート力は群を抜いている」という評価の理由
亀山氏は、「これまで当社は、数々のマテハン機器を導入してきました。その中でも+Automationのサポート力は群を抜いています」と高い評価を下す。
まず亀山氏らが驚いたのは、設置工事のスピード感である。
同センターが設置工事を開始したのは、2021年10月のことだが、わずか2日で設置完了してしまったという。
「アンカー工事などを必要とするマテハン機器だと、設置に1~2ヶ月かかる場合もありますが、『t-Sort』はパレットを並べ、その上にRFIDを備えたマットを敷くだけなので、とにかく設置が簡単でした。
そもそも、アンカーを打つと、賃借物件の場合、退去時に原状回復を求められます。アンカーを打たないで設置が完了する『t-Sort』は原状回復のコストを軽減できます」(亀山氏)
次に驚いたのが、運用時のサポートだと言う。
山善のグループ会社で総合物流サービスを担うヤマゼンロジスティクス ロジス関東 主任 山本康広氏は、「夜間に問題が生じても、サポートと連絡がつくのはありがたいです。ログもきちんと見てくれていて、問題があれば連絡をくれますし。地震があった時に、『地震がありましたが大丈夫ですか?』と連絡が入ったのは驚きましたね」と、+Automationのサポート体制を評価する。
山本氏は、「ちょっと恥ずかしい話ではあるのですが」と前置きした上で、こんなエピソードも教えてくれた。
「電源コンセントが抜けていたために発生した不具合について、嫌な顔ひとつせずに対応してくれた上に、コンセントが抜けにくいように工夫をしてくれて、かつ同様のアクシデントを防ぐための庫内業務の改善提案までしてくれました」(山本氏)
このような、「血の通った」サポートがあるからこそ、「t-Sort」の良さはより生きてくるのであろう。
+Automationが自社開発した、既存設備・ロボット・デバイスを統合管理する庫内実行システム「+Hub」と、同社が利用しているWMSとのシステム連携についても触れておこう。
一般論ではあるが、システム同士を連携させる際には、時に数百万円以上のシステム改修費用が発生することがある。
しかし、「+Hub」と同社WMSのシステム連携については、「+Hubの場合、WMSからエクスポートした出荷データ(csv形式)をメールで送るだけなので、とても簡易的でした」と亀山氏は語る。
加えて、「+Hub」はシンプルな設計思想で作り上げられているため、WMSとの間でやり取りするデータも、最小限で済んだという。
「t-Sort」導入の効果
「『t-Sort』導入前、開始当初に30人体制だったシングルピッキング運用を、習熟度を上げて12人まで減らしました。しかし、これが限界でした」と亀山氏は振り返る。
人海戦術で行ってきた業務について、基本的な運用を変えずに生産性向上を図ることには限界がある。「t-Sort」導入によって、同センターが、さらに4人まで作業員を減らすことに成功したのは、「『t-Sort』導入によって、シングルピッキングからトータルピッキングへとピッキング方式を変更できた事が大きいです」と亀山氏は説明する。
以前までの12人は、同センターの業務遂行における教育とトレーニングを積む必要があったが、「t-Sort」導入後の作業員4人に対する教育とトレーニングは、大幅に軽減された。人手不足が深刻化する今、この違いは大きい。
ちなみに、作業員4人の内訳は、商品を「t-Sort」に投入するインダクション担当者が2人。ハンモック・シュートに仕分けされた商品を箱詰めする担当者が2人である。インダクション担当者は、ひとりで2つのインダクションを使う。
同センターでは、仕分け・出荷業務に必要な作業員のヘッドカウントを、12人から4人に減らすことができた。つまり、一日64時間の工数削減を実現できたことになる。
亀山氏は、「『t-Sort』導入によって実現できた人件費の削減効果は大きい」と評価する。
ちなみに、この結果は、導入前の試算を上回っているという。
一方で、「t-Sort」の生産性向上効果や省人化効果により、副産物として、より生産的な庫内業務に人手を割けるようになった。
「ロジス関東では、とある量販店へ一日最大2万個の雑貨出荷をたった4人で行っているうえ、『t-Sort』による生産性向上効果により、作業員がより生産性の高い庫内業務も行うことができるようになりました。そこで、返品の仕分け作業も「t-Sort」で行うことにしました。」(亀山氏)
RaaS(Robotics as a Service)のアドバンテージ
加えて、亀山氏、山本氏はRaaSで提供される「t-Sort」のアドバンテージも大きいと語る。
「サブスクでサービスを享受できるメリットは大きいです。
当社では高価なマテハン機器を導入したこともありますが、サブスクは、初期費用が抑えられるので、導入しやすかったです」(亀山氏)
「ピースソーターなどでは、故障すると業務全体をストップさせざるを得ないこともあります。しかし、『t-Sort』であれば故障した個体を取り替えれば、業務を続けることができます。これはありがたいです」(山本氏)
山善が期待する、「t-Sort」および+Automationが切り開く物流ロボットの可能性
亀山氏、山本氏が担当する家庭機器事業部における仕入先は約600社、販売先は約400社に及び、家庭機器事業部の売上は1000億円を超える(2022年3月期)。小売流通マーケットにおいて豊富な実績を積み上げてきた山善は、当然物流業務についても、極めて高い経験値を備えている。
考えてみれば、マテハン設備や物流ロボットについて豊富な知識と経験を持つ亀山氏が、日本GLPから届いた、たった一本のニュースメールに着目、そこから「t-Sort」を導入し、大きな導入効果を得たという本事例は、とても興味深い。
いわばキュレーターとして優れた選択眼を持つ亀山氏だが、+Automationに今後期待することとはなんだろうか。
「+Automationは、他のマテハン設備や物流ロボットとの協業についても積極的に取り組んでいます。物流ロボットの進化に対し、飽くなき探究心を貫く+Automationの動向には、今後も注目していきたいです」(亀山氏)
「t-Sort」を介して同社が得た知見が、物流ビジネスにフィードバックされることもあるだろう。
「山善×+Automation」という化学反応が、どのような効果を物流ビジネスにもたらすのか期待したい。
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