ベスト・ロジスティクス・パートナーズ

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作業員確保の激戦区にある食品スーパーの冷蔵物流センターが、t-Sortをどのように活用して一日あたり36人時もの工数削減を実現したのか?

■導入シチュエーション
○ 大手スーパーマーケットの物流センターにおける低温帯エリアにt-Sortを導入、日配食料品の仕分けを実施
○ 同センターの3PL受託者は三菱食品グループのベスト・ロジスティクス・パートナーズ(以下、BLP)、庫内作業はパートナー企業である間口ロジ関東が担当
○ 同センターでは、早朝・午前中・午後・夕方の1日4便、店舗配送トラックが運行されているが、最大ボリュームで店舗運営においても重要な早朝便においては、特に限られた時間内に仕分けを確実に終えることが求められている

■ 導入前の課題
○ 「倉庫・工場作業員争奪の激戦区」川崎臨海部で、食品物流の物量波動を人海戦術で対応する限界を感じていた
○ 「人手が欲しい」ために採用したスポットワーカーなれど、「習熟度が伴う仕分け業務においては即戦力として期待できない」というジレンマ
○ 「平時の2倍以上の出荷量」──コロナ禍の巣ごもり需要が生み出した非常事態を経験したからこそ気づけた、物流センター機能のキャパシティを増強する必要性

■ 導入理由
○ 「こんなロボットは見たことがない」──従来の自動化マテハンでは見たことのない縦横無尽に動くユニークさと低温帯にも導入可能なt-Sortに一目惚れしたこと
○ 「拡張と縮小、あるいは移設も容易」──ビジネス・スピードが加速する現代の物流において、フレキシブルな経営戦略を妨げない自動化マテハンは、t-Sortしかなかったこと
○ 「PoCで証明された“嘘のない数字”」──相談からすぐに、本格導入を見据えたPoCを実施したスピード感に加え、机上の空論ではない「本物の実績値」を持って経営層も納得させられる導入起案を実施できたこと

■導入後の効果
○ 「一日あたり4.5人分」──従来比30%の作業生産性向上、「時間に追われる仕分け作業」は過去のものに
○ 「教育に要する時間が1週間から、わずか5分へ」──習熟度の低いスポットワーカーも、即戦力化を実現
○ 「物量が増えても、人員増員は最低限へ」──t-Sortがもたらした仕組みが波動を吸収し、品質を担保する安心感


 

―「t-Sort」導入前の背景と課題―

深刻な人手不足と食品流通ならではの波動対応、このジレンマに向き合う方法を探せ!

Q.BLP川崎夜光SDCの特徴と、開所からこれまでの経緯を教えてください

ベスト・ロジスティクス・パートナーズ 事業統括本部 関東第四支店 センター管理Aチーム
チームリーダー 藤川喜貴氏

A.(藤川氏)BLP川崎夜光SDC(以下、川崎夜光SDC)は、2017年6月に稼働開始しました。当社はさまざまな企業の3PLを受託していますが、中でもここは最大級の物流センターです。

川崎夜光SDCでは、顧客である大手スーパーマーケットにおける冷凍食品以外のすべての商品を取り扱っており、温度帯は常温と低温、物流センターとしてはTC型(Transfer Center、通過型センター)とDC型(Distribution Center、在庫型センター)の両方を機能として備えています。

Q.川崎夜光SDCでは、スポットワーカーを雇用していると聞きました。

ベスト・ロジスティクス・パートナーズ 事業統括本部 関東第四支店 センター管理Aチーム
MS川崎夜光SDC センター長 亀井佑典氏

A.(亀井氏)川崎夜光SDCに限らず、食品を取り扱う物流センターでは、繁閑の波動が大きくなる傾向があります。この波動を吸収するために、常雇いのパート・アルバイトとは別に人材派遣やスポットワーカーを雇用し対応しているセンターもあります

一方で、川崎夜光SDCがある神奈川県川崎市の海寄りエリアは物流施設や工場などが多く、倉庫・工場作業員の人手不足が深刻です。したがって、川崎夜光SDCにおけるスポットワーカーの雇用は、波動吸収だけではなく、そもそも常雇いの作業員だけではまかないきれない人員を確保するという目的も兼ねています。

Q.物流業界で広がる人材派遣やスポットワーカー活用ですが、一方で「常雇いの人材に比べると、複雑な作業をさせられない」という声も聞きます。

間口ロジ関東 社長執行役員 仁木義規氏

A.(仁木氏)従来であれば、作業員を一人前に育成するためには、1週間程度は必要でした。
そのため、スポットワーカーでも即戦力化できる仕組み作りや作業プロセスの見直しが求められていました。

Q.川崎夜光SDCの稼働開始が2017年。一方で、t-Sort導入に向けた+Automationとの交渉開始が2023年。その間には、新型コロナウイルスによるパンデミックがありました。t-Sortのような自動化マテハン導入を検討するにあたっては、コロナ禍の影響もあったのでしょうか。

A.(亀井氏)ありました。
コロナ前は、川崎夜光SDCに限らず多くの物流センターでは、予測可能な物量に対し、人海戦術で対応することが一般的でした。
ところがコロナ禍では、通常時の150%から200%、瞬間的には300%を超えるような量のオーダーが入りました。食品スーパーだからこその前代未聞の物量だったのですが、このときは結果的にお客さまであるスーパーマーケット側のご理解を得て、出荷量に上限を設けざるを得ませんでした。

Q.小売店、ましてや食品スーパーにおいて、欠品は大原則として許されないはずです。
新型コロナウイルスという非常事態だったとは言え、「出荷量に上限を設けざるを得なかった」というのは、辛い経験でしたね。

A.(仁木氏)悔しかったですね…。
人海戦術には限界があるということを、骨身に染みて感じました。

(亀井氏)率直に言えば、コロナ禍以前は人海戦術だけで川崎夜光SDCは回っていました。
この苦い経験があったからこそ、t-Sort導入に踏み切れたとも言えます。

―「t-Sort」を選んだ理由と導入経緯―

「t-Sortのようなロボットは他にない」、そして川崎夜光SDCのニーズにもマッチ

Q.初めてt-Sortの実機をご覧になったのは、2022年に開催された国際物流総合展だったとお聞きしています。

A.(亀井氏)その年の国際物流総合展は、「t-Sortを見たい!」と思い訪問しました。
t-Sortのような物流ロボットは、それまで見たことがありませんでしたから。

実際に見たt-Sortは、期待以上にスピードが速く、ユニークで高いオリジナリティを備えていました。

(藤川氏)
自動倉庫や自動ラックについて、当社では20年以上の導入実績があります。
またDAS(Digital Assort System)についても数多くの導入実績がありますが、これらとはまるで違うt-Sortの独創性に驚きました。

「これはなんとか使ってみたい」と思いましたね。

(亀井氏)
t-Sortは、川崎夜光SDCの特性ととても相性が良かったことが導入の決め手でした。
今後も川崎夜光SDCは取り扱い物量、配送店舗数共に増加が見込まれていますが、t-Sortであれば物量に合わせた拡張や、あるいは縮小も容易に出来るところが決め手の1つでした。

(藤川氏)
「レイアウト変更が可能である」というのも、t-Sortを選定したポイントでした。これまで自動倉庫・自動ラックといった重厚長大な自動化マテハンであれば、新設時の当初設計からの変更は困難ですが、t-Sortであれば、レイアウト変更の自由度が上がることは、t-Sort導入における魅力の1つです。

Q.現在の川崎夜光SDCでは、ハンディターミナル(HHT)とt-Sortを併用しています。この「併用できる」というのも、t-Sortを選んだ理由なのでしょうか?

A.(亀井氏)そうですね。
t-Sortは日配食料品を取り扱う低温帯エリアに導入しましたが、日配食料品の中には自動化マテハンで輸送してしまうと、デコレーションが崩れる可能性があるデザートなどがあります。また、外装箱のサイズもさまざまなので、すべての日配食料品を自動化マテハンで仕分けするのは現実的ではありませんでした。

現場作業員の判断で、シームレスにHHTと自動化マテハンを使い分けられるという観点でも、t-Sortは最適でした。(※詳細は後述)

Q.PoC実施までのスピード感や、その結果にも満足していただけたと聞いています。

A.(亀井氏)実際に+Automationに相談したのは2024年12月でしたが、相談をしてからわずか3週間でPoCを行ったスピード感には驚きました。

(藤川氏)PoCを迅速に行えたことは、社内で導入起案するときにもとても助かりました。

今までの私どもの経験で言うと、自動化マテハンを導入するときって、どうしてもカタログスペックと実際の稼働値に差が生じます。
「これを社内でどうやって説明するのか…」というのも導入起案者の悩みの種なのですが、t-Sortについては、PoCで得られた処理能力をそのまま導入検討の材料にできたので、こういった懸念はありませんでした。

(藤川氏)実際、社内で稟議申請した時の処理能力と、今の稼働能力実績の誤差は、ほぼありませんでした。

―「t-Sort」導入の効果―

t-Sort導入によって、作業員の工数削減と仕分けに要する時間短縮の両方を実現

Q.t-Sort導入によって得られた省人化効果を教えてください

A.(亀井氏)t-Sortによって、一日あたり4.5人分の作業量に該当する36時間、月に換算すると1ヶ月あたり1,080時間の工数を削減できました。

t-Sort導入前、日配食料品の内対象カテゴリの仕分けは1日16人程度必要でしたが、その他の改善活動の効果も相まって、現在は1日10人程度で回せるようになりました。

Q.t-Sort導入によって、作業員における習熟度の差を平準化することもできたそうですね。

A.(仁木氏)元々この現場では、HHTを使った仕分けを実施していました。
HHTを使う作業を一人前に行えるようになるには、前述のとおり1週間程度の教育を必要とします。

しかしt-Sortについては、その日初めて川崎夜光SDCで働くスポットワーカーでも、5~10分程度のレクチャーで、一人前の作業生産性を上げることができるようになりました。

Q.t-Sort導入によって、物量の変動にも対応しやすくなりましたか?

A.(亀井氏)川崎夜光SDCでは1日4便の運行を行っています。
店舗運営において、特に重要なのは店舗開店前の早朝に低温帯の日配食料品を届ける1便目です。1便目がもっとも物量も多いですからね。
1便目を滞りなく出庫させるためには、夕方から0時頃まで行われる入庫と、早朝の出庫までの限られた時間内に仕分けを終わらせなければなりません。

t-Sort導入前はギリギリまで仕分けが終わらないこともありましたが、t-Sort導入後はだいたい2時頃には終わるようになりました。つまり物量が増えても、余裕を持って対応ができるようになっています。

Q.t-Sortを導入した他社の現場では、作業経験の少ない作業員は貨物を投入するインダクションに配置されることが多いのですが、川崎夜光SDCでは違うと聞いています。

A.(仁木氏)t-Sort導入当初は、私どもも同じように考え、人員配置をしていました。
しかしt-Sortを運用し、さまざまなデータを分析したところ、実はスキルフルな作業員をインダクション担当にしたほうが、生産性が向上することが判明、最近では経験が少ない作業員はシュート側に配置しています。

Q.作業員の身体的負担も減ったと聞いています。

A.(仁木氏)負担は大きく軽減されております。以前は店舗ごとに用意されたカートラックに商品をひとつずつ、手作業で運んでいましたが、t-Sort導入後は1/3程度に軽減されました。

―+Automationへの評価と今後の期待―

スピード感と現場ファーストなカスタマイズ能力を評価

+Automation ソリューション事業部 エンジニアリング室 森山泰輔(左)と、
配送先店舗の増加に伴うt-Sortレイアウト変更について話し合う

Q.t-Sort導入時の+Automationのサポートに対する評価を教えてください

A.(藤川氏)PoC実施時にも、+Automationのスピード感と提案力には驚きましたが、運用フェーズに入ってもこれは変わりません。私どもからの要望に対しは、必ず解決策を提案してくれました。

(亀井氏)川崎夜光SDCの日配食料品出荷では、HHTとt-Sortを商品ごとに使い分けています。
通常、こういった処理を実現しようとすると、あらかじめ商品ごとに「これはt-Sort」「これはHHT」というふうに仕分け手段を登録するように設計することが一般的です。しかし+Automationでは、HHTとt-Sortのどちらでも仕分け出荷ができるような臨機応変な使い分けを実現してくれました。

(仁木氏)PoC実施の際、実際にt-Sortが走り回っている様子を見た時には、「おお、すごいな!」と私も思いましたし、社員はもちろん、パート・アルバイトの皆さんもすごく食いついていたのが印象的でした。

物流現場に限らず、新しいものを導入すると拒否反応が出ることもあるのですが、t-Sortは事前のPoCが順調だったこともあり、実際に導入した際にもネガティブな反応は少なかったですね。

t-Sortを使った現場改善について、常にディスカッションを欠かさないそうだ

BLP川崎夜光SDC、「t-Sort」を用いた業務プロセス

夕刻を回ると、川崎夜光SDCには次々と商品が入庫してくる。

入庫した日配食料品は、カートラックに載せた状態でストックヤードに溜められていく

日配食料品を積んだカートラックはインダクションまで搬送し、t-Sortによって仕分けされる

店舗ごとに用意されたシュートから、作業員は商品をカートラックに載せ替えていく

店舗ごとに仕分けられた商品を積んだカートラック

ちなみに川崎夜光SDCでは、以下の1日4便体制で配送を行っている。

  • 1便 6:00~7:30 低温帯商品
  • 2便 開店後~11:30 低温帯商品
  • 3便 13:00~15:30 低温帯商品および常温特売商品
  • 4便 ~19:00 常温定番商品

【参考】HHTによる仕分け

川崎夜光SDCでは、t-Sortによる仕分けと、HHTによる仕分けを使い分けている。

HHT仕分けエリアでは、カートラックは店舗ごとに設置されており、
作業員は仕分け先の店舗に割り当てられたカートラックまで商品を手作業で運ぶ。

HHTを使った仕分け作業を行う作業員

まとめ

インタビュー内でも触れられているとおり、小売店において商品を欠品し、販売の機会損失を招くことは許されない。これは、チェーンストア・ビジネスに携わるときに最初に叩き込まれる鉄則である。

だからこそ、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要という非常事態があったにせよ、当時BLPと間口ロジ関東が感じた悔しさというのは、想像に難くない。

しかし一方で、食品物流において自動化マテハンのような新たな投資を行うことは簡単ではない。

  • もともと薄利であること
    消費者からの値下げ圧力が強い食品を取り扱うゆえに、食品物流も総じて薄利になりがちであること
  • より緊急性の高い追加投資の存在
    本稿内で触れられているとおり、人手不足が加速する今、倉庫・工場作業員は取り合いになっている。そのため、採用コストや待遇改善といったプラスオンのコストが不可欠になっている。
    加えて、食品物流とは不可欠な冷蔵・冷凍倉庫は、既存施設の約3割が築40年を超えており、メーカーや物流事業者は、建て替えの検討を進めていかなくてはならない。

だからこそ、今後数年で食品物流事業者の二極化はさらに進んでいくだろう。
一方は、さまざまな事情からビジネスプロセスの見直しができず、結果、人海戦術に頼った運営を継続せざるを得ない事業者。
もう一方は、時代の変化を見据え、生産性向上や省人化、あるいはGX(Green Transformation)などの社会的投資を加速できる事業者である。

とはいえ、出ていくお金は少ない方が良いに決まっている。
だからこそ、初期投資を抑えられるサブスクリプション形式で自動化マテハンを導入可能なRaaS(Robot as a Service)で提供されるt-Sortが、食品物流からも注目されているのだ。

既設倉庫に導入できて、作業者を選ばずに、市場や荷主による取扱い規模への変動にも対応できるt-Sortは、これから食品物流においても広まっていくのかもしれない。

スペック

  • 物流センターの特徴:TC・DCの両機能を備える大手スーパーマーケットの常温・低温物流
  • 取り扱い商材:冷凍食品以外の食品全般
  • t-Sort活用:チルド帯エリアにおける日配食料品の店舗別仕分け作業
  • 導入機器:t-Sort cb15
  • 「t-Sort」導入台数:50台
  • 投入口数:4か所8投入口
  • シュート設置数:85間口
  • 盤面スペース:400坪
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