NTTロジスコ
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NTTロジスコがDASとt-Sortの複合ソリューション「t-Sort MAS」で、エンタメグッズ物流の「約5倍の物量波動」や「少量多品種の壁」を克服した裏側とは?
■導入シチュエーション
○ エンターテインメント関連グッズ(以下、エンタメ関連グッズ)を取り扱う物流センターにおいて、店舗仕分け用にt-Sort MAS(ティーソートマス)を導入
○ 同センターの3PL受託事業者は、エンタメ関連グッズ取り扱いの経験豊富なNTTロジスコ
○ 「少量多品種かつ物量波動が極めて大きい」エンタメ関連グッズの特性に対応することが求められている
■ 導入前の課題
○ 「人海戦術の限界」平時の数倍に膨れ上がるエンタメ物流特有の激しい物量波動に対し、人海戦術によるセンター運営は限界を迎えていた
○「荷主の拡大に伴走する拡張性」出荷量・商品数・出荷先店舗の拡大を図る荷主の戦略に伴走できる拡張性のある自動仕分け設備が求められていた
○ 「少量多品種と物量波動の壁」想定以上に細かい少量多品種の商品群に加え、数倍に及ぶ物量波動が発生しても、納期を厳守しなければならない
■ 導入理由
○ 「t-Sort MAS」は、1次仕分けを「t-Sort」で、2次仕分けを「DAS」で行うことで、高い処理能力と丁寧な荷扱いを同時に実現する今までにない仕分けソリューション
○ 「要求仕様を高次元で実現」NTTロジスコが求める処理能力・サイズ感・導入スピード・コストなどの導入条件を満たせる自動化マテハンは、t-Sort MASだけだったこと
○ 「事業拡大に向けた拡張性」物量・商品種類・店舗数の増加にも、t-Sort MASであれば対応可能なこと
○ 「半年で本稼働させるスピード感」導入決定から半年でPoCや作業員への教育、ロボットの設置を終わらせることができること
■導入後の効果
○ 「約5倍の物量波動にも対応」平時は1日あたり数千行の物量が、数万行まで増加したときも、稼働人数を大きく増やすことなく対応し、納期を厳守した
○ 「作業者の『手の動き』を標準化」NTTロジスコのカルチャーである「手の動きレベルで作業を標準化する」をt-Sort MASの環境下で強化
○ 「計数差異を恐れたのは過去のこと」t-Sort MASの作業ログによって、差異発生のルーツを辿り、リカバリーを容易に
―「t-Sort」導入前の背景と課題―
「遅配は絶対に許されない!」エンタメグッズ物流ならではの多品種小ロットと「大きすぎる物量波動」に対応できる物流センターを構築せよ!
Q.NTTロジスコ 東日本エンターテインメントロジスティクスセンター(以下、東日本ELC)で取り扱っているエンタメ関連グッズとはどういう商品なのでしょうか?

NTTロジスコ ソリューション事業本部 エンターテイメント営業部
担当課長 水谷亮太氏
A.(水谷氏)キーホルダー、カード、アクリルスタンド、クリアファイル、ぬいぐるみ、CD・DVDなど、エンタメ作品の登場人物や世界観を表現したさまざまなグッズを取り扱っています。
Q.エンタメ関連グッズを取り扱う物流の難しさを教えてください。
A.(水谷氏)まず小さなものから大きなものまで、さまざまな荷姿の商品があることです。
また中には衝撃等に弱く壊れやすい商品もあるため、細心の注意を払った取り扱いが必要な商品もあります。
次にとてもSKUが多いことです。現在、SKU数は数千にのぼるほどの少量多品種です。
加えて、物量波動の変動がとても大きいことも特徴です。
Q.エンタメ関連グッズというと、納期が厳しいというイメージがあります。

NTTロジスコ ソリューション事業本部 エンターテイメント営業部
担当課長 山本哲司氏
A.(山本氏)商品によっては、映画の公開といったイベント等に合わせて、絶対に店頭に並ぶように出荷する必要があります。
当社ではさまざまな荷物を扱っています。
「遅配が許されない」というのはどの荷物も同じですが、エンタメ関連グッズにおける物量波動は極めて大きいため、遅配を起こさないように物流センター側の体制を整えておくことはとても大切です。
Q.どういうときに物流波動は高まるのでしょうか。
A.(山本氏)エンタメ関連グッズは、夏休みなどの長期休みに入る前に出荷物量が増えます。
映画やイベントなどに合わせて増えることもあります。
また、作品が突如注目された結果として発生するような予測不可能な物量波動が発生することもあるのが、エンタメ物流の難しさです。
―「t-Sort MAS」を選んだ理由と導入経緯―
「導入のスピード感、実行能力、拡張性という3つの条件を満たすのは、t-Sort MASしかなかった」
Q.ソリューション選定にあたっては、他の自動仕分け設備導入を検討したのではないでしょうか?

NTTロジスコ ソリューション事業本部 エンターテイメント営業部
東日本ELC(八千代) センター長 増井清一氏
A.(増井氏)他の自動仕分け設備は、処理能力が低かったり、あるいはt-Sort MASに比べて大きなスペースを必要とするなど、私どもの要求するスペックを満たすことができませんでした。
想定した自動仕分け設備に求められる実行能力のスペックを満たせたのは、t-Sort MASだけでした。

東日本ELCのt-Sort MASでは、インダクションと反対側にステーションを拡張できる余地を残した庫内レイアウトを採用している。
Q.t-Sort MASの導入を決定してから半年で実際の導入ができたと聞いています
A.(亀井氏)+AutomationショールームなどでPoC(Proof of Concept、概念実証)を開始し、t-Sort MASの詳細な仕様を詰めました。並行して、東日本ELCを設けるプロロジス八千代1に入居し、電源工事なども行っています。
詳細な仕様を詰めてから4ヶ月で設置とテスト運用に至り、5ヶ月後には作業者へのトレーニングを開始しました。
結果、わずか半年でt-Sort MASを稼働開始できたのは、選定時の期待通りでした。
Q.ちなみにt-Sort MASの設置にはどれくらい時間がかかったのですか?
A.(増井氏)3日程度ですね。
―「t-Sort MAS」導入の効果―
稼働人数を大きく増やすことなく、平時の5倍という物流波動での出荷量に対応
Q.t-Sort MAS導入によって、どれくらいの物量波動に対応できるようになったのでしょうか?
A.(水谷氏)平時は1日あたり数千行の出荷を行っていますが、東日本ELCでは、平時の5倍となる1日あたり数万行の出荷に対応できた実績があります。
この時は日勤だけではなく、夜勤、そして日勤と夜勤の間も含めた3交代制で対応しました。勤務体制を変更したとは言え、これだけの物量波動に対応できたのは、t-Sort MASのおかげです。
Q.東日本ELCでは、人材派遣やスポットワーカーも利用しているのでしょうか?
A.(水谷氏)他業務では利用することもありますが、t-Sort MASを利用した仕分け業務では、人材派遣やスポットワーカーは利用していません。
Q.東日本ELCでは、出荷品質もかなり向上したそうですね。
A.(水谷氏)はい、そのとおりです。
これには、t-Sort MASが大きく貢献しています。
「数のミスを防ぐ」というのは、もともと東日本ELC開所時からの課題でもありました。入荷時に数の過不足がある商品もありますが、東日本ELCでは出荷仕分け時にこういった計数差異を把握し、店舗への出荷に際してはオーダーどおりの正確な数で出荷しています。
Q.「数のミスを防ぐ」とは具体的にどのように行うのでしょうか?
A.(水谷氏)ポイントは3つあります。
● 熟練作業者に出荷仕分けを従事させること
● 作業者の「手の動き」レベルで標準化すること
● ミスが発生した時の追跡を容易にすること
「数のミス」は、作業者の思い込みによって生じることが多くあります。
例えば「10個口」と書かれていると、「この袋の中にある商品は10個に間違いない」と思い込んでしまうケースです。
他にも「数を間違えやすい商品」もありますので、こういった商品特性を理解し自ら注意のレベルを高めて作業ができるのは熟練作業者ならではの特性です。
t-Sort MASは処理能力が高いので、物量波動への人員対応を最小限に抑えたうえで、一定の人数、いつものメンバーで現場を回せることから、「数のミス」に対する嗅覚が優れた熟練作業者だけで出荷仕分けを行うことができています。
またNTTロジスコでは、「手の動きレベルで作業手順を標準化する」(※数の数え方(1枚ずつ数える・その際の手の動き)など、作業手順の標準化に際し、より深くより詳細なレベルで実現すること)というカルチャーがあります。
とは言え、荷姿も大きさも多種多様なエンタメ関連グッズにおいて、これを実現することは難しいのですが、t-Sort MASによって作業手順が単純化され、「手の動き」を標準化することができました。
(増井氏)
最後の「ミスが発生した時の追跡を容易にすること」ですが、従来であれば「数が足りない」「商品が余った」といったことが発覚した瞬間に、「ミスした可能性がある」、つまりその日それまでに仕分けたすべての箱を再チェックする必要がありました。
しかしt-Sort MASではすべての作業をログとして取得しています。
ですから「あるエリア向けの出荷・梱包ステーションで商品の過不足が出た」となれば、対象となるDASで仕分けされた箱だけを対象にチェックすれば済みます。
t-Sort MASのおかげでミスしたとしても、そのリカバリーの手間を大幅に削減することができる点はとても良いと感じています。

商品によっては、このように外装袋を開封し仕分けを行うケースがある。
開封した商品は、赤いトレイに入れてから1つずつ青いトレイに移しながら、「数の確認をする」という手順が徹底されている。
Q.t-Sortが備えている自動充電機能もご評価いただいていますね。
A.(水谷氏)当社ではこれまでも自動倉庫やクロスベルトソーターなど、様々な自動化マテハンの導入実績があります。こういった自動化マテハンの中には、倉庫管理系システムと密に結合した結果、メンテナンスやアップデートなどのタイミングで自動化マテハンも休止せざるを得ないケースがあります。
その点、t-Sortは自動充電ですから、私どもの立場としては休止等を意識せずにセンター運用を計画できるのはありがたいです。
Q.NTTロジスコとしては、作業品質を担保する仕組みを創り上げてしまえば、同様の物流スキームを横展開・拡大していけるという目論見もあるのでしょうか?
A.(水谷氏)はい、そのとおりですね。

NTTロジスコの物流品質は、このように2S(整理・整頓)が徹底された備品管理にも現れている。
―+Automationへの評価と今後の期待―
「導入はゴールではない」常に伴走し続ける+Automationの支援体制
Q.PoC時など、導入に際して行った+Automationのサポートをどのように評価しますか?
A.(増井氏)t-Sort MASの管理システムと当社のWMS等の連携といったシステム的なすり合わせから、業務プロセス・作業プロセスレベルの話まで、毎週細かい打ち合わせを行っていました。
+Automationからはプログラマーも同席してくれて、深い話もその場できちんとできましたし、決めるべきことをきちんと毎週クリアできていたことには感謝しています。
(山本氏)
当社ではこれまでもさまざまな自動化マテハンを導入してきましたが、他社に比べて「議論の持ち帰りが少ないこと」に加え、「スピード感がある」ということに感心しました。
「できること」と「できないこと」をはっきりと説明したうえで、「できないこと」に関してはきちんと代案をご提案いただいた点も評価しています。
(水谷氏)
2か月ほど、現場に張り付いてさまざまな提案をしてくださいました。

+Automation カスタマーイノベーションセンター 副部長 服原甲弥(左)は、足繁く現場に通い、常に東日本エンターテイメントLCの進化をサポートし続けている。
今後、さらに+Automationに期待することはありますか?
A.(増井氏)お客さまは、東日本ELCがさらに物流能力を向上させていくことを期待しています。
そのため、当社でも年度ごとに様々な施策に取り組んでいきますが、+Automationには今後もご協力いただきたいと考えています。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
NTTロジスコ 東日本ELCにおける、t-Sort MASを用いた業務プロセス

商品のストックスペース。
書類トレーなどを多用していることから、小さなアイテムが多いことが分かる。

東日本ELCでは、リングスキャナを採用している。



インダクション側の様子。なお、折りコンにトレイを載せているのは、小さなサイズの商品をそのまま載せると、ステーション側で商品を取り出す際の作業性が悪くなるため。中型サイズの商品はトレイを外して載せ、折りコンで運べない大型サイズの商品については、t-Sort MASを使わず、HHT(Hand Held Terminal)で仕分け・検品を行っている。

基本的には、ひとつのステーションを1人の作業員が担当する。
なお、ひとつのステーションには最大15間口を設定可能だが、東日本ELCでは、間口の一部は備品等を置くスペースにあてている。


商品を投入する間口は、ランプ点灯により指示される。作業員は、商品を投入したらボタンを押下する。

ステーションを裏側から見た様子。商品が溜まった折りコンは手で押し出してレール部分に押し出すが、レール部分の適正な斜度や長さについては、PoCの時に試行錯誤を繰り返したという。

押し出された折りコンの様子。


ステーションの裏側では、折りコンから出荷箱へと商品が詰め替えられる。


梱包された商品は、店舗別に仕分けられて出荷を待つ。

東日本ELCではt-Sort cb15を採用しているが、ベルトは稼働させず搬送のみを担っている。
まとめ
筆者は、コロナ禍で推し活需要が高まったエンタメ関連グッズ・物流センターを見学したことがある。
当時注目されていた某自動倉庫システム導入事例を取材すべく、その3PL事業者を取材したのだが、それは一般雑貨を取り扱うスペースでの話。取材ついでに見学させてもらったエンタメ関連グッズ・エリアでは、コロナ禍とは思えないほどの人数の作業員が働いていた。
「エンタメ関連グッズの仕分けプロセスは自動化しないのですか?」という筆者の質問に、「エンタメ関連グッズの多品種小ロットと物量波動幅の大きさ、そしてこれらに伴う仕分けの複雑さは一般雑貨の比ではありません。自動化はとても難しいです…」と担当者は苦笑しながら答えた。
以降、「エンタメ関連グッズについては自動化マテハンの導入が難しい」と思い込んでいた筆者にとって、今回の取材は目からウロコが落ちるような驚きと新鮮さを伴った転換点となった。
この転換点には、2つのポイントがある。
1つ目は、NTTロジスコが推し進める「3.5PL®事業」である。
同社Webサイトでは、「3.5PL®事業」について、以下のように説明されている。
「NTTロジスコは、お客様の『サプライチェーンの最適化提案や物流戦略の策定(4PL事業)』から『高品質で生産性の高い物流運営(3PL事業)』までのサプライチェーンに関わる様々な課題を解決する『3.5PL®事業』を展開する総合物流ソリューションカンパニーです」
同社が長年にわたって蓄積してきた知見は、現場力に特化した3PLと、上流工程のコンサルティングや戦略策定に該当する4PLの双方に及ぶ。このバランスの取れた実践力こそが「3.5PL®事業」の強みであり、本質なのだろう。
「3.5PL®事業」を展開する同社だからこそ、「自動化が難しい」と言われていたエンタメ関連グッズにt-Sort MASを導入できたのだ。
2つ目は、t-Sort MASの登場である。
本文中でも触れたとおり、同社は他の自動仕分け設備も検討したものの、眼鏡にかなうソリューションはないと判断した。つまりt-Sort MASという新たな物流テクノロジーの登場が、今回の事例につながったのだ。
エンタメ関連グッズに限らず、少量多品種なアイテムを取り扱う物流機能は標準化や自動化が難しいと言われる。だからこそ本事例は、高度な知見を備えた事業者(NTTロジスコ)が、物流テクノロジーが進化した機を逃さず、「できないと言われてきたことを打ち破った」快挙として学ぶべき点が多い。
もし少量多品種ゆえに人海戦術から脱却できないと悩む荷主や3PL事業者がいるのであれば、一度、t-Sort MASを検討してはいかがだろうか。
物流テクノロジーは進化している。
あなたがこれまで培ってきた知見と、t-Sort MASのような新たな物流テクノロジーが化学反応を起こせば、これまで諦めてきた自動化も実現できる可能性があるからである。
スペック
- 物流センターの特徴:エンタメ関連グッズを取り扱う物流センター
- 取り扱い商材:キーホルダー、カード、アクリルスタンド、クリアファイル、ぬいぐるみ、CD・DVDなどのエンタメ関連グッズ
- t-Sort MAS活用:物流センターの出荷行程における店舗別仕分け作業
- 導入機器:t-Sort MAS
- 「t-Sort」導入台数:56台
- インダクション数:6口
- ステーション設置数:ステーション14基、合計間口数183
- 盤面スペース:約270坪(作業場含め)

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