富士ロジテックホールディングス
- 食品
- 段ボール・ケース
- BtoB
- JUC-S800R
- 生産性
- 属人性
- スペース・レイアウト
- 省人化
本邦初、「重量搬送AMR」と「Fリフト」と「ヒト」がHybridに共同作業する現場
1フロアオペレーションにおける横持距離200mの解消と「ロボット”を”業務に合わせる」がテーマ
GLP ALFALINK相模原(神奈川県相模原市)へ移転増床し、ワンフロア低床倉庫というアドバンテージを手に入れた富士ロジテックホールディングスだが、今度は倉庫内の横持ち距離が最大200mにおよぶという課題が生じた。
この課題を解決したのが、同物流センターで取り扱う加工食品の搬送を実現する最大積載量800kgを誇るAMR「JUC-S800R」である。
多様で柔軟なオペレーションが要求される富士ロジテック GLP ALFALINK相模原物流センター
富士ロジテックホールディングス ALFALINK相模原物流センターは、2021年9月、GLP ALFALINK相模原1号棟の竣工とともに、稼働開始した常温物流センターである。
同センターは、食品商社からの再委託により、複数の食品メーカーの物流業務を受託している。取り扱い商品は、加工食品が中心であり、一箱平均10kgになる、比較的重たい荷物を取り扱うことが多い物流センターである。出荷先は、小売や店舗の物流センター、工場などが中心となっている。
同センターでは、TC型(Transfer Center、「通過型物流センター」と訳される)、DC型(Distribution Center、「在庫型物流センター」と訳される)両方のオペレーションが要求されるが、これは、複数の食品メーカーの荷物を取り扱う関係上、多様で柔軟なオペレーションが要求されるためである。
富士ロジテックホールディングス ALFALINK相模原物流センターが、「JUC-S800R」を選んだ理由
もともと、この業務は座間市内の同社物流センターで実施していた。
GLP ALFALINK相模原に移設したのは、GLP ALFALINK相模原の備える、圧倒的なスペックに魅力を感じたからである。
そもそも、マルチテナント型で、ワンフロアの低床物流施設がとても少ない。加えて、座間時代の600坪から約2850坪へと増床したのだ(※現在はさらに増床し、約5500坪)。
富士ロジテックホールディングス 神奈川事業部 営業部長 古川貴史氏は、「食品メーカーなどの荷主さまが、私どもの富士ロジテック ALFALINK相模原物流センターを見学しに来てくれると、この施設スペックの高さに、皆さま、驚かれます」と語る。
結果、商談の方も、スムーズに話が進むそうだ。
ただし、巨大なワンフロアになったことで、思わぬ弊害も出てきた。フォークリフトの空走距離が増えてしまったのだ。なにしろ、同センターの内の最長距離は、横方向に200m、縦方向に70mもある。
「旧座間市の物流センターでは、フロアが複層階に分かれており、縦持ちが発生していました。もちろん、縦持ちよりは、ワンフロアの横持ちの方が、はるかに庫内業務の生産性向上を実現できています。
とはいえ、『荷物を輸送しない』フォークリフト・オペレーターによる空走を、そのままにしておくのはもったいないですよ」(古川氏)
この「もったいない」を解消し、さらなる生産性向上を図るため、同社が目をつけたのが、最大800kgの重量物を搬送可能なAMR「JUC-S800R」だったのだ。
「JUC-S800R」、その導入の決め手となったのは?
古川氏は、「+Automationが某所で行った、JUCと自動フォークリフト(AGF)を組み合わせたデモンストレーションを見たとき、『AGV・AMR倉庫の自動化って、けっこう現実的になってきたな』という感触を得ました」と振り返る。
そこで、実は別メーカーのAGVを検証したという。ところが、同センターで求められるような、「フォークリフトと物流ロボットが混在して働く」ことを前提とすると、AGVの運用上不可欠な床に貼付するマーカーやガイドテープが、フォークリフトの走行によって剥がれてしまうことがわかったのだ。
この対策として、候補として挙がったのが、自律走行を可能とするAMRであるJUCシリーズだった。JUCシリーズであれば、基本的にWi-Fiで位置測位を行うため、マーカーやガイドテープは不要である。
ただし、検証開始当時のJUCシリーズは、最大積載量が300kgと600kgの2種類しかラインナップがなかった。これでは、比較的重量がかさむ荷物が多い同センターにおいて、「商品の庫内搬送(幹線輸送)を、AMRで行いたい」というニーズは満たしきれない。
状況が変わったのは、最大積載量800kgの「JUC-S800R」がラインナップに登場したからである。2022年4月、同社では、「JUC-S800R」を用いた実証実験を開始した。
「JUC-S800R」導入がもたらした効果
「JUC-S800R」の導入によって、フォークリフト・オペレーターは、生産性が低い「ワンフロア倉庫内の横持ち作業」から解放され、「人でなければ難しい作業」、すなわちトラックへの積み込みや、庫内の最適な配置変更など、より生産性の高い業務に集中できるようになった。
もう一つ注目すべきは、同センター内の業務が必要とする汎用性や柔軟性を損なわずに、ワンフロア倉庫の利便性と生産性向上を果たしたことだろう。
同センターでは、入庫バースと出庫バースを共有している。これは、取扱商品の特性として、午前が入庫、午後が出庫に概ね分かれているためである。さらに、必ずしも入庫したパレタイズのまま出庫されるわけではなく、異なる商品をアソートし、出荷するケースも多いという。
同センターが求められる汎用性・柔軟性に富んだ庫内オペレーションを実現するためには、作業員、フォークリフト、ロボットが混在して動き回る環境を維持しなければならない。この難しい要求を、同センターでは、「JUC-S800R」を活用し、見事に実現しているのだ。
「ちなみに、『JUC-S800R』が充電切れを起こした様子は見たことがないですね」と古川氏は評価する。
カタログスペック上、「JUC-S800R」は、充電2時間で稼働8時間とあるが、適時自動的に充電されるので、実運用上、充電切れを起こさないのだと言う。
バッテリーフォークリフトを利用している現場では、まだ不慣れなフォークリフト・オペレーターが充電を怠り、つい充電切れを起こしてしまうケースも間々発生する。これも、ヒューマンエラーとは無縁のロボットなりの効率化であり生産性向上と言えるだろう。
「新型ロボットが登場したら、取り替えれば良い」、さらなる発展を目指す物流企業にとっての最適解
富士ロジテックホールディングスでは、すでに三つの物流センターで、「t-Sort」を導入している。なぜ、今回も+Automationと契約を結び、また「JUC-S800R」を導入したのだろうか?
「実は、他社AGVとは別に、自動倉庫の導入も検討しました。しかし、コスト感がまったく合いませんでした。加えて、3PLを受託する私ども物流企業の立場で考えると、RaaS※という選択肢がベストだったのです」(古川氏)
※RaaS
「Robotics as a Service」の略。ロボットをサブスクリプション形式で提供するサービス形態を指す。
同センターは、食品商社から物流業務の再委託を請けている。
食品商社としては、さらに取引(=メーカー等からの物流業務の受託)を拡大したいという意図があり、富士ロジテックホールディングスはそのニーズを受け止めながらも、一方では同社が、クライアントである食品商社に対し、独自にアピール・提案できる材料を持たなければならない。
そのためには、業務プロセスがどうしても固定化されてしまう自動倉庫よりも、「JUC-S800R」のような物流ロボット+人間(+フォークリフト)のような、ハイブリッドな環境を実現したほうが、物流事業者の自由度が高まり、創意工夫によりクライアントに提案できる余地が広がるのだ。
「現在は、最大積載量800kgの『JUC-S800R』を利用していますが、取り扱っている商品の中には、1パレット1000kgを超えるものもあります。最大積載量1000kg以上を実現するJUC新シリーズが登場したら、もちろんそちらに切り替えたいです。
ロボットの進化に合わせて、利用するロボットを刷新できるのは、RaaSならではのメリットですね」(古川氏)
「ロボット”に”、業務を合わせる」のではなく、「ロボット”を”、業務に合わせる」大切さ
古川氏は、「クライアントから、『使い方の工夫がおもしろい』と評価されたんですよ」と笑顔をこぼす。
「『ロボットにマッチするように業務を合わせる』のではなく、『業務にマッチするように、ロボットを合わせた』ところが評価されたのでしょう」(古川氏)
これこそが、物流企業における物流ロボット活用方法の理想だろう。
なぜならば、「ロボットに使い方を合わせる」のでは、荷主が物流企業を選ぶポイントが、「どのロボットを使っているか?」になってしまい、物流企業の価値がスルーされてしまうからである。
同社が、この「物流企業における物流ロボット活用方法の理想」を実現できたのは、RaaSと、また富士ロジテックホールディングス ALFALINK相模原物流センターにマッチする「JUC-S800R」という出会いの結果であることにあることに注目して欲しい。
物流企業における、物流ロボット活用の最適解のひとつとして、本事例は参考になるはずだ。
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